タマル

ダーティハリー4のタマルのレビュー・感想・評価

ダーティハリー4(1983年製作の映画)
3.7
『運び屋』記念
クリント・イーストウッド特集!!

第三弾『ダーティ・ハリー4』(83)
原題は“SUDDEN IMPACT”
「突然の衝撃」


以下、レビュー


当年53歳イーストウッドの監督第10作目。ソンドラ・ロックがヒロインを務める最後のイーストウッド映画である。

『アウトロー』(76)の2年後、イーストウッドは『ピープル』誌2月号にすっぱ抜かれ、ソンドラ・ロックとの不倫が公の知るところとなったのを契機に、妻マギーとの法的な別居関係に入る。これで、仕事でもプライベートでも良き理解者であったロックと気兼ねなく過ごせる、と思ったのもつかの間、同年夏にロックが妊娠してしまった。
クリントはロックに中絶させた。79年に再び妊娠した際にも、また中絶させた。当然、両者の関係は冷え込んだ。ロックに高級住宅を買い与えてもそれは変わらなかった。さらに、1980年には、他の不倫相手との隠し子がいることをロックに告白し、イーストウッドはもはや二人の将来に展望がないことを明らかにした。
『アウトロー』以来、イーストウッドは自分の映画のヒロインには当然のようにロックを割り当ててきた。しかし、監督9作目『センチメンタル・アドベンチャー』(82)でそれが崩れる。イーストウッドがヒロインに選んだのは、ロックより18若いアレクサ・ケイン(20歳)だった。
本作の場合は、ロックのための企画を横領した条件として、ロックをヒロインにせざるを得なかったというだけの話で、結果として彼女の最後の出演作となった。

本作は「田舎怖い映画」の系譜である。3がスケールの大きい話になってしまったのに対して、「ダーティハリー」シリーズに相応しいスケール感と言える。 今回、レイプ被害を受けた復讐者を演じるサンドラ・ロックは、その異様なデカ目を活かして、病んだ殺人者の怨讐を見事に表現する。個人的には「レイプされてる女性を、亡霊のごとく現れて救い出したい願望」がイーストウッドにあることをはっきり確認した作品。 あるいは、自らのダークサイドに強姦願望があることを完全に自覚しているのかもしれない。
ただ、53歳のイーストウッドは、皺も増え、生え際も後退し(植毛したらしいが)、控えめに言っても60代のロートルに見える。60代の男が若い上司に叱られる様を見るにつけ、さすがに「ダーティハリーシリーズ」の寿命を感じずにはいられなかった。

本作内のセリフ

“GO ahead, make my day.”

は2005年版「映画の名台詞100」の6位に位置付けられている。
和訳は
「やれよ、望むところだ」
タマル

タマル