Kota

マイ・ブルーベリー・ナイツのKotaのレビュー・感想・評価

4.0
“理由なんて見つからない時もある。”

10代の頃好きだった映画を見よう週間。夜明け前の薄明るい空とネオンが光るニューヨークで失恋したリジー(ノラジョーンズ)は元恋人の家の鍵を立ち寄ったカフェのマスター(ジュードロウ)に託し当てもなく旅に出る。5年ぶりに鑑賞しても、こんなにスローで心地のいい映画は滅多にないなぁ。

リジーの旅先で出会った人々の人生をリジー目線で垣間見る作りが(普通映画は物語の“主人公“の人生を垣間見るはずなのに)、一枚フィルターが入ったようで他の映画にはない感覚。スーリン(レイチェルワイズ)やレズリー(ナタリーポートマン)との一期一会を通じて少しずつ心の傷が癒えていくのがまるで自分の事のように思える。泣くほどの失恋をした人なら誰しも共感できるんじゃないかな。

鍵を捨ててしまえば、ドアが一生開くことはないけど、そのドアを忘れて他のドアを探すことができる。そもそもそのドアの中には何もないかもしれない。誰かに堕ちるほど恋い焦がれる事、そしてそれを乗り越えて行く事がジャズと共に心にすっと響く。ラストシーンからエンドロールの入りがお洒落すぎてため息…。
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