まちゃん

ベスト・キッドのまちゃんのレビュー・感想・評価

ベスト・キッド(1984年製作の映画)
3.6
いじめられっ子の少年ダニエルが空手を通じて成長をしていく…。定番の成長物語かもしれない。しかし王道のストーリーを衒い無く正面から描き切った所にこの作品の美点があると思う。ダニエルの成長の上で最も重要な人物がミヤギだ。謎めいた隣人として登場したミヤギ。盆栽を通じてダニエルと親しくなったミヤギはやがて空手の師匠となっていく。「心の中から出たのなら常にそれが正しい」「バランスは大事だ。空手にも人生にも」ミヤギの言葉含蓄に富み、空手を越えてダニエルの人生そのものに影響を与える。もちろん空手のシーンも魅力的で特に特訓シーンは有名だ。意味の無いように思われた特訓が空手の動きと繋がる一瞬には興奮した。驚いたのが第二次世界大戦中の日系人の悲劇を描いている所だ。娯楽作品でアメリカの汚点に触れているのは意外だった。ミヤギの悲劇的な過去を聞き師弟の絆はより深まる。師弟で挑む試合、そしてラストシーンでのミヤギの表情は印象的だ。王道の力を感じる作品だった。
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