青二歳

オモチャ箱シリーズ第3話 絵本1936年の青二歳のネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

1934年製作アニメーション。"煙突屋ペロー"('30)のスタッフが贈るミッキーマウスの国産アニメ…
侵略者ミッキーをやっつけろ☆いやいや…"ペロー"の反戦メッセージはどこいったの…"ペロー"は取り締まり受けたらしいけどその反動なんだろか…
戦前の映画やアニメーションのうち、軍の協力や協賛を受けたものはいくつか見てきましたが…その多くは敵が出てこない/表象も漠としているのが特徴で、"国策映画"として見ると当時の日本における"プロパガンダ"のテクニックには内に向く傾向があると見ていました。
ディズニーやフライシャーは敵をかなり明らかな存在として描いたし、狡猾だったり卑怯だったり滑稽だったりと結構ネガティヴな表象が目立ち、戦意昂揚を目的とするなら、その"プロパガンダ"のテクニックには外へ目を向けさせる傾向があると思われます。
しかし今作は珍しく"敵"の表象が明確にネガティヴです。まぁ先ずミッキーマウスの丸パクリって所をどう解釈すべきなのか…1934年時点でアメリカが仮想敵だったのか?でもオモチャ達の島にフィリックス・ザ・キャットおるがな!

【あらすじ】オモチャ達が楽しく暮らす島にミッキーマウス(邪悪)が宣戦布告。オモチャ達は絵本の中のヒーローに助けを求めた。桃太郎、牛若丸、浦島太郎、猿蟹合戦のカニ陣営らが登場。
ミッキーマウスはネズミとプテラノドンのキメラ航空隊に加えて、ワニ艦隊、さらにヘビ部隊が上陸し、オモチャ達に迫る…
食人族さながらにドンドコと円を囲みオモチャを縛り上げ踊るミッキーマウス(邪悪)。コウモリだかプテラノドンの発射する機銃掃討。それをかわす桃太郎!(ここ笑えるんですが、音楽もJ.O.オーケストラとあるからこれオリジナルで合わせてたんですね。すごいな。)
ラストにまさかの浦島太郎が最終兵器を…日本の映画法下の戦争を扱う映画において"敵をあざ笑う"表象は珍しいのでこれは参考になります。

それにしてもミッキーマウス(邪悪)が本気で悪い顔してる…ディズニーやフライシャーの敵キャラを超える邪悪さ。日米ともにアニメの敵は、どう描くかの差はあれど突き詰めれば愛嬌ありますが(漫画だもん)。でもこのミッキーはちょっと本気で怖い。

日本帝国海軍Z旗"皇国の興廃この一戦にあり"がはためいているが…南方の…海戦のイメージなのか…?34年に…?うーん。
オリジナル音源で音楽をアニメーションに合わせてるのがすごいのでそこは高く評価したいです。
青二歳

青二歳