ぷかしりまる

洲崎パラダイス 赤信号のぷかしりまるのネタバレレビュー・内容・結末

洲崎パラダイス 赤信号(1956年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

出会いと別れはひとの心に爪痕を残すことである。そのために痴情のもつれが起こるのは世の常であろうな さよならも告げずに去る者に対し、待つ者、影を追う者、残される者…その姿は愛おしく哀しい。ラストで玉ちゃんの見つめる川面には千草の女将さんの子供が落としたおもちゃの刀が浮いており複雑な気分になった。堅気の生活に戻った途端、刺殺される男の姿は人生の因果と不条理さを感じさせる。赤線で働く処女との純粋な恋愛を信じていた青年がそれをコケにした主人公の女を引っ叩く場面は、泥沼のような愛憎劇がある一方で、言い方は恥ずかしいが恋愛における良心というか相手を信じる心もあるのだという書き手の思いが伝わるようで素晴らしかった。最後足元のみを映して描かれる主人公の男女はファーストカットの伏線を回収していて良い(第3の男を思い出させる)