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洲崎パラダイス 赤信号のmikoyan358のレビュー・感想・評価

洲崎パラダイス 赤信号(1956年製作の映画)
4.5
さすが「幕末太陽傳」と並び川島雄三監督の代表作と言われるだけの事はある、戦後の赤線地帯を舞台とした闊達な人間喜劇。遊郭のぎりぎり外側の店というロケーションをうまく使い、ダメ男としっかり者女の腐れ縁にも似た行く末を縦の軸に固定し、そこに入る人・出ていく人などを横の軸に沿って行き交わさせる立体感ある構成が巧みで、出来事自体は一つ一つの小さな事柄なのにトータルで観るとざわついた花街と堅気の世界との分水嶺の雰囲気が丸ごと感じ取れる。ぐるっと回って、という冒頭とラストの悲哀も味わい深いしなあ。こういう人情味溢れる市井の賑やかさを描かせたら、本当にこの川島雄三という人の右に出る者はいないと思う。名作!
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