カタパルトスープレックス

欲望のあいまいな対象のカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

欲望のあいまいな対象(1977年製作の映画)
3.8
ルイス・ブニュエル監督の変態モードで通常運転な遺作です。10代の小娘が老人と「オアズケ」プレイで変態ごっこをする話です。

前作『自由の幻想』(1974年)と前前作『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』(1972年)ではメーターを振り切る不条理で笑いを取りに行ったルイス・ブニュエル監督と脚本家ジャン=クロード・カリエールのコンビ。しかし、本作では原点に立ち返って(!!?)変態路線に戻ってきました。澁澤龍彦も大好きだった「変態」で有終の美を飾るなんて、ルイス・ブニュエル監督はやっぱりステキです😌

原作としてクレジットされていないものの、ピエール・ルイスの小説『女と人形』が下敷きとなっているそうです(未読)。この小説は以前にも何回も映画化されているのだそうです(未見)。話は非常に簡単です。老人マテオ(フェルナンド・レイ)がメイドだった10代のコンチータ(キャロル・ブーケ/アンヘラ・モリーナ)に焦らされる話です。

コンチータ:おじさまステキ。捧げたい!
マテオ:ウヒョー!!めっちゃセックスしたい!
コンチータ:うーん、ダメダメ。が💖ま💖ん💖

基本的にこの繰り返しです😂🤣😂。もう、いい加減にあきらめろよ。わかるだろ?!と思うのですが、懲りない。本当に懲りない!😂 変態プレイでイチャイチャします。

この映画はコンチータの二人一役で有名なんだそうです。ボクは知らずに観たので気がつかなかったんですよ。あれ?ずいぶんと違う顔ができるんだなあ。髪型もだいぶ違うし、雰囲気もかなり違う。女優ってすごいなーって素直に感心していました😅 クールなキャロル・ブーケと官能的なアンヘラ・モリーナ。どうりで、違う人だったんだ!

そして、今回もルイス・ブニュエル監督特有の思わせぶりな小道具をぶち込んできます。一つはテロ事件です。何のためのテロなのか、何を象徴しているのかはよく分かりません。コンチータがそのメンバーの一人の可能性があることも示唆されます。でも、テロ自体が象徴するものがわからない。

もう一つが「ずた袋」です。この「ずた袋」に関しても評論家の間で多くの解釈が披露されたそうですが、ルイス・ブニュエル監督は⭐いつものように⭐全て否定したそうです😅

変態や不条理で人を不安にさせたり、不愉快にさせるのは比較的簡単なんですよ。普通じゃないものを見れば誰だって普通じゃない気持ちになりますから。ルイス・ブニュエル監督は変態や不条理をエンターテイメントにしてしまうのがスゴいと思うんですよね。