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ゆれるのERIのレビュー・感想・評価

ゆれる(2006年製作の映画)
4.4
方々で大絶賛されている西川美和監督の「ゆれる」を観ました。なんかずっともったいなくてとっておいてたんだよね、なんかそういう気持ちだったの。でももう我慢ができなくなったので時がきた感。


てか、この映画こんなにすごい映画だったの・・・・。ちょっと想像の何百倍もよくて呆然としてる。


オープニングから全然想像と違って、むしろ遥かに超えてきて「好きすぎる」と頭抱えてしまう。西川美和監督の音の使い方もとても好きなの。そんなテンポ良い始まりとは裏腹に東京から地元に向かってどんどん不穏だ。


それにしてもオダギリジョーさんカッコ良すぎないか。そしてこの頃の香川照之さんもキレキレで大好き(うま過ぎ)この二人のキャスティングによってこの物語の説得力がすごい。

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物語は東京で写真家として成功している弟の猛と、地方でコツコツ暮らす兄の稔。幼馴染の智恵子の3人を中心に動いていく。

猛が母親の一周忌に実家に帰ってきた。真面目な兄と軟派な弟はいつもぎりぎりで妙な関係だ。久しぶりに帰った地元で兄と智恵子が仲良さそうな姿を見て、壊しに入る猛。再会してすぐ智恵子の家に転がり込み彼女を抱いた。


あくる日、猛と稔と智恵子は渓谷に出かけていた。猛は智恵子の自分に向けられた気持ちに気づいて、まるで何もなかったみたいに接する。逃げるようにして渓谷の橋を渡る猛を追うように吊橋を渡る智恵子。そして智恵子を追うように吊橋を渡る稔。3人の関係はゆれる。

この渓谷の橋のシーン、息が止まるかと思った。オダギリジョーさんも香川照之さんも、すごい。


その後の食卓のシーンも、泣きそう。や、すごい。お父さん役の伊武雅刀さんも凄くてもう胸がぎゅうってなる。さらにその後の病院のシーンも心臓えぐられる。稔。。

そして少しずつ壊れていく稔。智恵子の死から数日経ち、自首をする稔の裁判が始まる。これは事故なのか、事件なのか。

裁判が始まってからの稔と猛の会話。どんどん二人の関係性の本質に迫っていく。痛い。

裁判のタケルが証言台に立つまでのやりとりも出し、真っ直ぐに裁判官を見て話す言葉。それを諦めたように見つめる稔の目。

7年という時間とふと顔を出す過去の小さな兄弟の姿。からのラストはもう必見で忘れられない。
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