このレビューはネタバレを含みます
【 嘘か真実か、ゆれる兄弟愛 】
フワッと軽やかな男性演じるオダギリジョーさんが好きだ。
ネットリと重々しい男性演じる香川照之さんが好きだ。
そんな正反対の兄弟が、ゆらゆら揺れ動く吊り橋の事件で“ゆれる”。
ゆらめく木々に流れゆく川のせせらぎ。あの描写だけで何という緊張感。真木よう子さんが落ちるシーンを映さずに味わうあの緊迫感は筆舌に尽くし難い。
兄貴の致命的な瞬間を目撃してしまった、猛。外側は擁護だが、内面すなわち心では完全に疑わざるを得ない状況、心境。
だけれども記憶を辿る。兄貴の行動と性格を紐解く。決して人を殺めるような人ではない。
最後、「にぃちゃーん」と、出所したての兄ちゃんに叫んだ。あれは疑ってしまった懺悔と、優しくて大好きな兄への呼びかけであり、兄弟愛が漲っていた。
見かけ、行動だけでは絶対に伝わらないことがある。でも、記憶と直感とで、その人にしか受け取れないメッセージがあるのもまた事実。