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ゆれるのcherryのレビュー・感想・評価

ゆれる(2006年製作の映画)
4.5
今作の評価が高いのも、すごく納得できた作品。
オダギリジョー演じる弟の猛と、香川照之演じる兄の稔に起こった物語。
この2人がメインで出演している時点で、もう安定感があって、初めから安心して観れたけど最後まで2人の演技力が光っていた。

真木よう子演じる智恵子が絡んでくる事件を中心に、話は進んでいく。
観ていく段階で「この人が話してること、なんか嫌だな」から始まり、1つ1つの話を結びつけていく自分を、全ての結末を知った後にすごく情けなく感じた。
何も知らないことを恥ずかしく感じたし、何も分かっていないのに、全部を分かっているみたいに話を聞いている自分が本当に嫌だった。

検察官役の木村祐一の嫌な詰め寄り方とかは、彼にぴったりだった。
また弁護士役の蟹江敬三のあの再現の仕方は、注目を集める点でやるなーと感心したし、裁判のことを知り尽くしているからこそできる行動なのだと思い、信頼できる人だと感じた。

そして、お酒がゆっくりと滴り落ちるシーンや、まな板の上で切ったトマトから種が溢れている場面が長く映されていることで、事件の始まりを予感させていたと思う。そういう細かい演出が積み重なって作品全体の不穏な空気を、上手く表していた。
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