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ラヂオの時間のkのレビュー・感想・評価

ラヂオの時間(1997年製作の映画)
3.5
三谷幸喜初監督作品。生放送の裏側という設定においては「カメラを止めるな」と同じ。三谷幸喜らしくドタバタコメディながらも、シニカルに仕上げ、果ては仕事論にまで発展させた深い作品。

今作は、舞台作品の映画化ということもあって、登場人物がとにかく多い。それでも登場人物のキャラクター一つ一つがしっかり独立しているので混同することなく楽しめる。ただ、さすがにカメラワークがテレビドラマ風で、非現実的で誇張的な印象。モロ師岡にドリーズームで寄っていくところ、近づくにつれて照明のテカりが気になってしまい、あぁこれokしちゃったかぁ、と個人的に思ってしまった。

作中における、唐沢寿明演じるディレクターは自分の仕事をすること、西村雅彦演じるプロデューサーは演者に気を使うこと、布施明演じる編成部長は仕事の一つとして難なく終えること、大体こんなことを考えて生放送に臨むが、現状もこんな感じ。演者も台本に口を挟んで役名は変えるわ、設定も変えるわ、自分勝手なのだが、これもその通り。それに振り回されるのが、脚本を書いた素人の主婦。各々が自分勝手なだけに、もうフラストレーションが溜まりに溜まる。近くで見ると悲劇だが、離れて見ると喜劇、と言葉があるが、まさにこれ。なんとも皮肉。
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