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デッドマン・ウォーキングのmomokaのレビュー・感想・評価

デッドマン・ウォーキング(1995年製作の映画)
3.7
尼僧のヘレンと死刑囚のマシューとの関わり合いが主な物語の軸となっている本作。加害者側と被害者側の心情がしっかりと描かれており、死刑制度についても改めて考えさせられた。

加害者側と被害者側の狭間でヘレンは何をもって赦しというのか、愛とは何かととてつもない程苦しんでいたと思う。最初は全く自分の犯した罪に対して反省の色が見られなかった、マシューが徐々に自分の犯したことに赦しを乞うようになっていく過程はとてもリアルだった。それもヘレンが彼のことを見捨てることなく、共にあり続けたことによるものなのだろうな。

「死ぬ時に初めて愛を知った」
マシューは死刑執行前にヘレンにそう告げた。決して彼は愛を与えられてこなかった訳ではなく、その存在に気づけなかっただけなのだろう。愛の存在を教えてくれたヘレンに出逢えたこと、それが唯一彼の人生の中での救いであったと感じた瞬間であった。

いつもこうした作品を観る度に思うが、死刑執行の瞬間を立ち会うことができる制度って被害者側からしたら良い面もあると思うが、結構えげつない…。加害者が亡くなっても残された遺族は結局憎しみや悲しみから解放される訳ではないし、ヘレンが言った通りその点はやはり遺族も現実を受け止めて努力し続けるしかないのだろうと思う。本当に本当に生き地獄のような苦しみだけれど。

死刑制度は在るべきなのか、廃止するべきなのか。その問いの答えがはっきりと分かる日はきっと来ないのだろう。
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