けーはち

土と兵隊のけーはちのレビュー・感想・評価

土と兵隊(1939年製作の映画)
3.0
火野葦平の原作を昭和14年に映画化した戦時国策映画。

テンポやドラマ性など娯楽映画として現代的な目で見るとアレだが、何しろ陸軍全面協力で撮影されており、九二式重機関銃、九二式歩兵砲、八九式擲弾筒など「ホンモノ」がじゃんじゃん出てくる、日本陸軍を描いた第一級の映像資料である。そのリアルな音を環境映像としてぼんやりと聞き流しても良いだろう。

コテコテ軍国主義っぽくはなく人間臭い演出で、泥水で炊飯し塹壕の中で雨に打たれ短い休息を取る彼らは艱難辛苦に耐え軍務を実行する。軍に縛られた人間の姿は時に無様かもしれないが激動の時代を赤裸々に生きた武骨な男達は私達の祖先の姿でもある。