shu

転々のshuのネタバレレビュー・内容・結末

転々(2007年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

大きなドラマのないまま淡々と進んでいく物語、その中で人々の心の機微を描くような作品は基本的に好きだが、本作はその中でもとりわけ温かい気持ちにさせてくれる。
平凡な日常、では決してないし登場人物はみんなどこかぶっ飛んでいるのだけど、その誰もが一瞬交わっては過ぎてゆく。
そんな繰り返しこそが人生の本質とでもいうような。
三浦友和演じる福原愛一郎のわがままに振り回される形で物語は進行するが、彼のための時間のようでいて、実際はオダギリジョー演じる捨て子の竹村文哉が様々な人との触れ合いを経験したり、家族の温かみを疑似体験するようなストーリー展開を見せる。

序盤、覇気がなく仏頂面のオダギリジョーが(基本的に彼はそういう表情が多いけれど)終盤で笑顔を見せるとそれだけで観ている側も心が温かくなる。
終わり方も、どこか寂しいのだけれど悲壮感は漂っていなくて、それが良い。
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