競馬のノミ屋で働くリリー(アンジェリカ・ヒューストン)、その息子のロイ(ジョン・キューザック)、彼の恋人マイラ(アネット・ベニング)、3人の詐欺師が愛し合い、憎しみ合い、人生を狂わせていく犯罪サスペンス。
思っていたのとはだいぶ違う、重く切ない映画だった。
「スティング」や「フォーカス」のような爽快な詐欺のエピソードや騙し合いはほとんどなく、複雑でやや気分の悪い人間関係が描かれる。
登場人物たちに愛はあったのだろうか。
マイラは華やかな世界を忘れられず、リリーは我が身を守るために暴走する。それぞれが愛や人間関係よりも大切なもののために破滅していく。
まるで人間の生きる意味や幸せの定義を問うような内容だが、いかんせんタイトルやパッケージ、キャストのイメージに比べて重苦しく娯楽性に欠けて見えてしまった。
この映画でブレイクしたアネット・ベニングは若々しく美しい。そして、アンジェリカ・ヒューストンはさすがの貫禄だ。
監督のスティーヴン・フリアーズというよりも、製作のマーティン・スコセッシの色が濃かったように見えた。
ラストの悲劇は、彼らの過去の行いと禁断の関係が招いた必然の運命ということだろう。