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甘い生活のEyesworthのレビュー・感想・評価

甘い生活(1959年製作の映画)
4.8
【俺たち何え?チーム友達】

フェデリコ・フェリーニ監督の代表作の一つ。主演はマルチェロ・マストロヤンニ。

〈あらすじ〉
作家志望の夢破れて、今はしがないゴシップ記者のマルチェロは、豪華なナイトクラブで富豪の娘と出会い安ホテルで一夜を明かす。ハリウッドのグラマー女優を取材すれば、野外で狂騒し、トレビの泉で戯れる。乱痴気と頽廃に支配された街ローマ。同棲中のエンマは彼の言動を嘆く。二人で訪れた友人スタイナー一家の知的で落ち着いた暮らしぶりを羨むマルチェロだが、彼らも子連れの無理心中で突如死に、残るは絶望の実感のみ...。

〈所感〉
『ラ・ドルチェ・ビータ』イタリア語は全くの門外漢だがこの美しい原題をそのまま『甘い生活』と訳してくれて助かる。甘い生活というのは甘ったるい生活態度への自己批判も込められているような気が。ラドルチェビータ、ラドルチェビータ、何度も言いたい。確かウディ・アレン監督が最高の映画の一つに挙げていたような。カメラマンのパパラッツォはパパラッチの語源になったという有名な話。マルチェロ・マストロヤンニといえば、最近『異邦人』を見たばかりで、それとは全く違う活発さと大胆さが主人公には見られた。言ってしまえば、3時間の乱癡気騒ぎ。流行りのHIPHOPで言うと「俺たち何え?チーム友達チーム友達チーム友達チーム友達チーム友達…」でしかないよね。上流階級のチーム友達がわっしょいわっしょい神輿を運んで、特大花火を打ち上げ続けるわけなんだけども、その先にあるのは何か?虚無でしかないのよね。それが一瞬の間やシークエンスの繋ぎ目にふと現れると、我々はそれから目を逸らして現実を直視したくなくなる。空飛ぶキリスト像に始まり、海岸に打ち上げられた巨大エイで終わる。人生の言葉では言い表せない祝福と人生のどうしようも無い虚無を同時に見せられた今の私に何を語る術が残されているのだろうか?
「沈黙。それが答えだ。」クラピカ
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