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永すぎた春のchiyoのレビュー・感想・評価

永すぎた春(1957年製作の映画)
4.0
2015/7/24
結婚前の男女の恋愛とモラルを描く、この時代だからこそ作れた映画。百子演じる若尾文子と郁雄演じる川口浩、お馴染みのコンビが相変わらず初々しい限り。が、何とか婚約はしたものの結婚までの間に少しマンネリ、というのが妙にリアル。そして、そんな時に限って誘惑はやって来るもので、まるで二人の絆を試されているかのよう。が、つた子は大人の女性としての節度がなさすぎるし、高倉も友人の婚約者を強引に奪おうとするのは人としてどうなのか。それでも、あきの性根の悪さに比べれば、二人は足元にも及ばない。あの表と裏で極端に変わる表情が本当に怖い。そんなあきを母に持つ千鶴子が可哀想でならないし、千鶴子を愛した百子の兄・東一郎の優しさがあまりに切ない。人の悪意を描きながらも、百子と郁雄の両親の噛み合わなさ等、コミカルな描写も多々。ちなみに、本作は三島由紀夫原作で、三輪明宏の特別出演もあり。
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