改名した三島こねこ

狩人の夜の改名した三島こねこのレビュー・感想・評価

狩人の夜(1955年製作の映画)
3.9
<概説>

母の再婚相手である伝道師は、実は実父の遺産目当ての凶悪殺人鬼だった。執念深い犯罪者とあどけない兄妹の追いかけっこは、無事終わりを迎えることができるのか。世界が認めた古典フィルムノワール。

<感想>

発表当時は本作は米国内で評価されなかったそうです。

コレを評価したのはむしろフランソワ・トリュフォーやルイ・マルといった国外のヌーヴェルバーグ旗手達。その後徐々に米国内でも評価を上げていったそうな。



いやいやこれ程美しいフィルムを評価しないって、当時の米国の審美眼はどれだけの節穴だったんですか!!?

美しさというのはなかなか一朝一夕には理解できません。

皆が「コレは美しい!」と賛美していても、首を捻ることなんていくらでもあります。むしろ賛美している人々の6割くらいは知ったかぶりな気も。

しかしながら本作やヌーヴェルバーグ監督達の明示した美というのは素人目にも堪りません。モノクロフィルムだからこその簡素な色彩。映像の雑味を排除する引き算。アクセントを効率的に演出するたし算。

どこを静止画に切り抜いてみても、呆とため息が漏れる。

それほどまでの映画としての魅力があります。

物語は時代とともにチープ扱いされようが、映像としての美はいつまでも目減りしない。そんな古典の奥深さを実感するには、実に最適な一作だと思います。