歌代

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人の歌代のレビュー・感想・評価

3.6
情報量の多い原作を2時間でまとめるとやっぱり原作のダイジェスト的になり、スリリングな冒険部分がフィーチャーされがちになってしまうのはどうしようもない部分。
でもこの3巻は唯一ヴォルデモートが登場しないというのもあり、映画も冒険よりも魔法学校の日常を重点的に描いています。
まあ比較的地味な映画ですが、だからこそハリーの成長、つまり「恐怖」との立ち向かい方を描き4巻からの展開に説得力を与えている…バトンをつなぐ映画になっています。

冒険よりも日常…というのは細部でも意識されてると思ってて、特にキャラクターの服装は今作は魔法世界のローブではなく基本カジュアルなパーカーなどがメイン。
ホグズミード村やホグワーツの授業もゆとりをもって描かれていて楽しい。だからこの映画好きなんです。

キャラクターも魅力的で、ルーピン・シリウス・ディメンター・ヒッポグリフなどは映像になったことで愛嬌がでたと思います。
特にルーピンの吹き替え版はすっごい良い人って感じがして子供の頃から好きで。でも大人になってからわかったんですけど声がでかかったんだなあ。

作品内屈指のチートである逆転時計があまりにもぶっ壊れ性能をしてるのは、その後の原作での扱いからも明らかで、作者J・Kローリング自身も失敗を認めています(原作では第5巻の神秘部の戦いにより現存する逆転時計すべてが破壊されたことが言及されてる)。
もうここに関してはなんも擁護できない。ハリーポッター(特に映画)も他の魔法シリーズと同じく「魔法は一体何ができて何ができないのか」をはっきりさせないことによるインフレが起こってしまっています。それを阻止するために逆転時計は強制退場させられたんだと思いますが…。


いい意味で閉塞感を作り出し、魔法学校の日常などを描くことに専念した、シリーズの中でも欠かせない一作だと思います。

祝いの席で合唱部が歌う曲がすっごい不穏な歌詞なのが魔法学校!って感じで好きなんだよなあ。


あと原作からカットされてるシーンで「え、これ無くしたの!?」っていうところけっこうありますが、使われなかっただけでBlu-rayの特典映像に入ってることが多いので原作好きのファンはレンタルをおすすめします。
歌代

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