ピロシキ

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人のピロシキのレビュー・感想・評価

4.4
「映画って、同じシリーズでも作品によって監督の個性が出るんだな」の最たる例はエイリアン(1〜4)だったりするのかもしれないが、ハリー・ポッターだってそうだろう。1・2作目がしばしば「児童向け映画」などと揶揄の意味をもって扱われる中で、その後のシリーズの行く先を決定付けた記念すべき3作目の監督は、アルフォンソ・キュアロンだった。メキシコ(天国の口)から魔法学校へやって来て、この世の終わり(トゥモローワールド)を経験して宇宙(ゼログラビティ)へ飛んでいき、このたびもう一度メキシコ(ROMA)へ帰ってきたキュアロンのフィルモグラフィーを見返しても、別に、いや決して、ハリー・ポッターは浮いていない。れっきとした「アルフォンソ・キュアロン監督作品」である。そしてハリー・ポッターのシリーズでいちばん好きな作品を問われれば、やはり僕は迷いなく、なんなら若干食いぎみで「アズカバン!」と答える。まだ誰も傷つかないし、まだ誰も死なないし、まだハグリッドにも見せ場があるからってわけじゃない。純粋に、圧倒的に、面白いからである。
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