mh

黒猫・白猫のmhのネタバレレビュー・内容・結末

黒猫・白猫(1998年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

超ハイテンションなフォークロアファンタジー。
動物いっぱい出てくるし、音楽は鳴り止まない。人が移動すれば物はひっくりかえるし、割ろうとするビンは割れない。とにかくやかましい。
「アンダーグラウンド」にはあったエレジーやポエジーみたいのはもうやってないみたいで、ただただ楽しい。
明らかに数が多すぎるアヒル。ロザリオ型のコカインケース。クルマ食ってる豚。樹木にくくりつけられたバンドメンバーなどなど、評論しようするひとをあざわらうかのような細部が痛快。
ロマたちをヨーロッパの一部の真面目なひとたちが嫌った理由がよくわかる。
連中といったら汚らしいし楽しそうだしほんと最悪で最高なのだった。
ヒロインと結ばれるひまわり畑の肯定感がやばかった。後ろ暗いことがまったくないひたすらポジティブなセックス楽しそう。
意に沿わぬ結婚や、隠蔽された死など、クライマックスのカオスがホロコーストを暗示しているように思えるのは深読みしすぎかな。
年老いた二人が子どもたちをみて、新たな友情が生まれたとかいうのとかめちゃくちゃ決まってるのに、アヒルで拭いてるのとか最高にもほどがある。
自分でハッピーエンドって書いちゃう映画は「フィッシャーキング」以来だったけど、そういうの含めて楽しいよね。
癖が強くて最初は拒否反応を示していたのに、いまやすっかりエミール・クストリッツァ監督のトリコになってることに気付かされる。
楽しみにしていた名作がまんまと名作でのこ上なく楽しかったんだけど、またひとつ見てない名作が減ってしまった寂しさっていうのもあると思った。
文句なしに面白かったです。

余談。
エミール・クストリッツァ監督作品にこれから触れるひとは、これを一発目にするか、でなければ、なるべく後回しにしてこれで締めくくるくらいのほうがよいかと思う。
mh

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