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黒猫・白猫の小のレビュー・感想・評価

黒猫・白猫(1998年製作の映画)
4.4
YEBISU GARDEN CINEMAの特集上映「ウンザ!ウンザ!クストリッツァ!2017」で鑑賞。面白いなーと思って見ていた。そしてずっと感じていた。『8時だョ!全員集合』っぽくないですか。

若い人は知らないかもしれない、最高視聴率50.5%、番組全体の平均視聴率27.3%の伝説のお化け番組。オープニングやエンディング、幕間の音楽、リズミカルなギャグはオジサンの体に染みついて離れない。

芸人のアドリブや偶然の産物ではない、考え抜かれた数々の笑いに熱狂した。下品なギャグに、“良識ある”PTAからやり玉にあげられることも多かったけれど、土曜日夜のこの番組は、規則に縛られた平日(当時の義務教育は土曜日午前に授業があった)を終えた自分にとっての祝祭で、見ないわけにはいかなかった。

つまり何が言いたいかというと、多分、当時の子どもたちは、この“非常識”な番組を見ることで、学校で矯正された感受性を、本来の自然な姿にリセットしていたんじゃないかと。(おおげさ?)

こういうバランス感覚って実は結構大切なような気がしているのだけれど、今の子どもたちは、毎日の息苦しさを何で解消しているのだろう。やっぱりスマホ? 巷では「うんこ漢字ドリル」というのが流行っているらしいけれど、勉強しながらでないと下品なことで笑うことが許されないのかしら…。

フォロワーさんで「定期的に観たい」という方がいらっしゃったけれど、わかります。「劇場のみんなで大笑いしたい映画」という方がいらっしゃったけれど、わかります。だって、この映画は『8時だョ!全員集合』で、家族や仲間が「全員集合」する祝祭だから。なんか苦しいなーとか思ったら、本能が求める類いの映画だから。皆で一緒に見て、絆/共同体感覚を磨く映画だから(違うかな?)

自分が見てきた3本のクストリッツァ監督作品は、1本の映画の中に、“クソ社会”(現実)とサーカスを描いていた。でも1本丸ごとサーカスの本作は、クストリッツァ監督から“クソ社会”へのプレゼント。ただひたすら面白い。作品の中にメッセージはないけれど、メッセージがないことが我々へのメッセージみたいな気持ちになってくる。

やっぱりラストが最高だよね。あんなになったら、笑って友達になるしかないじゃないの。しかも新旧揃った2人組の、何だか臭うような関係がナイスすぎ。

とは言っても、大喜びしちゃうのは、私のような元クソガキで、女性は顔をしかめる方が多いかもしれない、かな?

●物語(50%×4.5):2.25
・クストリッツァ監督作品で今のところ一番好きとか言うと、自分の品性が見透かされるような気がしてちと恥ずかしいけれど、一番好き。

●演技、演出(30%×4.5):1.35
・フィルマークスで使用されているDVDパッケージのシーン、思い出してちょっと可笑しい。

●画、音、音楽(20%×4.0):0.80
・ズンチャズンチャ♪
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