Rena

ワイルド・マン・ブルースのRenaのレビュー・感想・評価

ワイルド・マン・ブルース(1997年製作の映画)
3.5
クラリネット奏者でもあるウディ・アレン自身が所属する、「New Orleans Jazz Band」 のメンバー達と回ったヨーロッパ・ツアーの模様を、プライベートも含めて撮影したドキュメンタリーです。

見慣れた服装に、聞き慣れた会話。
もう何から何まで、映画の中のウディ・アレンそのもの(笑) プライベートでも変わらず "そのまま" な姿を見ることができて、嬉しくなっちゃいます。

姿・かたち・立ち居ふるまい
ウィットやユーモアに富んだ会話。
そして、ところどころで弱気な発言をしたりシニカルな言動をはさみながら、飄々とマイペースにスケジュールをこなしていく。やる気がなさそうに見えるところも、妙にしっくりくる。
当時は恋人だったスン・イーや両親・妹も出てきます。その中でも特にお父さんがとても可愛らしく、お気に入りです。

ジャズには様々な種類がありますが、バンドのスタイルは 「ニューオーリンズ」 と呼ばれる、オールド・ジャズ。ジャズの起源?のようなもので、今では好んで演奏する人や聞く人があまりいないスタイルのよう。
でも『 土っぽくて、いい意味でやぼったい音楽 』と自身が表現するこのスタイルが、彼は大好き。
( この表現の仕方、すごくいい!! )

人気者のウディ・アレンは、行き着く先々で人だかり。
ヨーロッパの風景、アンティークな雰囲気が広がる素敵なホテル、伝統ある劇場。映画の作品名や作曲家、監督の名前が出てきたりなど、そういう部分も楽しめます。

あまり見たことがない演奏する姿も、新鮮でした。
そして、今回初めて気がついたのですが、華奢でスラッとした指...
クラリネットを支える "手" がものすごくキレイ!!
年齢・性別に関係なく、キレイな手に対してすごく憧れがあるので、これからウディ・アレンを見る時は、大いに "手" に注目です。

また、舞台袖での会話もおもしろく、司会が長過ぎるため、しびれを切らして途中でステージに出て演奏をはじめてしまうなんていう、いかにもウディ・アレンらしい?シーンもあります。

『 ハプニングが人生をおもしろくする 』

心に留めておきたい言葉。ステージ上で、思わぬ事態に遭遇した時の発言です。
そして、"陪審員みたいな聴衆だった" と、ある会場での観客達を表現した言動が飛び出した時は、名言過ぎて笑ってしまいました。

クラリネットを演奏する姿、ジャズに対する熱い思いなど、新たな魅力をたくさん知ることができてよかったです。
そして、ウディ・アレンがオリジナリティー溢れる作品を無限に作り出す事ができる "理由や原動力"、その起源が少しわかったような気がします。
Rena

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