神戸の高級レストランを守る若き女性オーナーと、それを潰しにかかる悪女の対決が描かれる。
桜田淳子が出番たっぷりであることに加え、第13回日本アカデミーで助演女優賞まで取ってしまった(因みに主演女優賞も本作から古手川祐子)というオマケまでついた名作。健気で快活で可愛らしくてエレガントでつい応援したくなってしまうほど古手川祐子の魅力炸裂だが、それもこれも淳子さん演じる悪役の存在あってこそ。大胆なドレスに身を包み、ヒロインを陰険に追いつめてゆく憎ったらしさ全開の淳子さんの名演技が、ドラマにメリハリをつけてくれている。
お話は、前半はトレンディ・ドラマとしてスタートするが、途中から、サスペンスやアクションの要素が加わり、ググーっと盛り上がってゆく。神戸という土地柄やハイソな登場人物が醸し出すオサレ感と、その裏の顔としての「ここまでやっちゃうの?」的な振り切ったえげつなさとを、無理なくブレンドさせてしまう演出手腕は、さすが大森一樹監督である。
ムラマツ・キャップ(小林昭二)が小悪党、ハヤタ(黒部進)が大悪党として登場しているのも、今見てみると、なんだか懐かしい配役である。