のっち

秘花 〜スジョンの愛〜/オー!スジョンののっちのレビュー・感想・評価

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ホン・サンス映画としてとても面白い。「反復と差異」を男女の視点で繰り返すことで、なんてことない下衆な恋愛を、惚れる側と惚れられる側の認識の差異、記憶は作られるということをシニカルに語っている。ラストへの仕掛けも性行為までへの笑みや酒場での血液型の話などが本当に卑らしく効いている。
しかし、この演じ分けを軽快に披露したイ・ウンジュが数年後に自殺していることを知ってしまうと素直に楽しめないのが現状。当時二十歳の彼女にこの露骨な欲望が影響を与えていないとは考えられない。それを考えると「パンツまで脱がせて何もしない」と誇らしげにするヨンス先輩や、“特別な場所”に呼び寄せる金持ちの下衆の男性性が自分にもないかと恐ろしくなる。しかし同時に女性が一方的な被害者ではなく、金持ちな部分に惹かれていることや、恋愛自体を楽しんでいる様子もあることが映画としては救いか。
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