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秘花 〜スジョンの愛〜/オー!スジョンのmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

4.0
店によったらアダルトコーナーに置かれてることもあるそうな…。
確かにエロ多めだし、処女の女となんとかセックスにこぎつけるまでの話なんです。
なんだけど、こういうくだらない話の中に、男と女の違いや悲哀とおかしみを滲ませながら、淡々としたユーモアで描いていて、これはあたしはなかなか好きでした。

ホン・サンス作品鑑賞も11作目となりました。
本作は彼の初期の作品です。

オープニングのピアノのBGMからしてホン・サンスの映画とすぐにわかります。
彼の特徴である唐突なズームはこの作品では見られませんでしたが、凝った造りはホン・サンスらしさを感じます。

というのも、この作品では、ひとつの出来事を振り返るにあたり、男の記憶と女の記憶のズレが巧妙に描かれていて、羅生門的な感じがあるのですが、そんなたいそうなものではなくて、ほんの些細な取るに足らないことの記憶や捉え方の違いでしかありません。

だけど、そんな小さな差異の中に、男と女の感じ方や捉え方の違いや、プライドや、本音やらが表れているし、些細なズレが結構重要だったりして、そういう見せ方が巧いなあ!と思います。

相手とセックスするかどうかという取るに足らない話のくせに、どこか文学的な雰囲気を醸し出してるところや、ひとつの出来事に対して、それぞれの「事実」があるっていうのが面白かったです。
男と女の会話や行動も何だか妙に生々しくリアルな感じも良かったです。

94
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