冴えない主人公が、離婚をきっかけにハンフリーボガードの真似をして男を磨き、女を口説こうと必死になるコメディ。個人的にウディアレン映画の中ではベスト3に入るかもしれない。『アニーホール』に勝るとも劣らない傑作だと思う。
脚本・主演にウディアレン。お相手はダイアンキートン。初期のウディ映画に常連のダイアンキートンと彼が初めて組んだ作品ですね。
ダイアンキートンはこの頃から演技力が完成されている。。さすがマイケルコルレオーネの伴侶役を務めた名優なだけありますね。(本作は『ゴッドファーザー』前年の映画ですが笑)
なおストーリーは主人公が親友の奥さん(キートン)を寝取って自分のものにするという、非健康的で楽しい話でした。良き。
(本作の)猿のように肉欲を持て余した生粋のダサダサ男も見てて楽しいけど、ウディアレンはやっぱり頭が良くてユーモアがあって、一部の女性からは熱烈にモテる男の役が似合ってる気がする。それがウディ本人を彷彿とさせるからかもしれませんが、なんせインテリ役は無理してる様子が一切ない。自然にインテリを演じられる俳優って貴重だもの。
ウディ映画は色々見てきたけど、やっぱり70年台代の作品が一番好き。画質や音質が悪いと言う人もいるけど、私は好きだなあ。70年代の映画に特有の、カラーに成りたての粗っぽい画質、なんだか実家の台所みたいな安心感があって良い。
「女?そんなもの、バーボンで忘れたさ」
「くだらない”関係”なんて忘れることだな。女は腐るほどいるんだ。お前はただ口笛でも吹いてればいい」
ハンフリーボガード、どうしてこんなカッコいいの笑。
原題の”Play it again, Sam”「もう一度俺のために弾いてくれよ、サム」はセンスあり過ぎて怖い。『カサブランカ』で主人公がパートナーのピアニストに放ったセリフですが、それをタイトルに使うとは洒落てますね。ただ原題がカッコいい分、邦題のダサさが際立っちゃってる気もします。
ラストのウディのキメ顔で不覚にも笑ってしまった。
ー好きなセリフ
Love is such a strange phenomenon, strange and exquisite.「恋は不思議なもの。不思議で素敵」