しろくま

トラック野郎 男一匹桃次郎のしろくまのレビュー・感想・評価

3.6
2022.05.07/103/図書館DVD
短気で血の気も多いが情に厚い長距離トラック運転手・星桃次郎(菅原文太)と相棒のヤモメのジョナサン(愛川欽也)が巻き起こす〝トラック野郎〟シリーズ第6弾。

今回は、くんちで賑わう佐賀県唐津、火の国阿蘇の熊本、鹿児島の桜島の九州縦断の旅で、マドンナは剣道三段の女子大生を演じる夏目雅子さん、わっぱ勝負の相手に子連れ狼の荒くれトラック野郎・若山富三郎さんを迎えて、恋あり涙ありの1978年の正月映画。

松竹の寅さんシリーズと並ぶ人気の東映・トラック野郎シリーズ。デコトラ仲間の菅原文太さんと愛川欽也さんが繰り広げる騒動は、これまでの任侠映画と違って、笑いが多めで、観ていて楽しい。マドンナとの恋模様も見どころの一つで、マドンナに夢中になって剣道の修行をしたり、失踪したマドンナのお姉さんを探したりして頑張っている桃次郎だったけれど、マドンナに好きな男がいて…という寅さんと同じ展開。ブラジルで一旗揚げようとしている恋人に、マドンナは、海外に逃げないで日本で頑張るように説得したが聞き入れてもらえず、恋人は一人で旅立とうとするのだけど、恋人を追って一緒にブラジルに行くように勧める桃次郎。大丈夫?ブラジルに行っても幸せになれそうな感じはしないんだけど、後押ししていいのかなあって感じ。それに、失踪していたマドンナのお姉さんの旦那も大変な人で、知り合いの連帯保証人になって借金を抱えた上にDVって、正月から男運のない姉妹の話ってどうなの?そのお姉さんを見つけて連れ戻す桃次郎の親切心が報われるといいけど…。

歌丸さんや小円遊さんなど懐かしい人たちも出演されていて、若山富三郎さんとの勝負や警察車両とのカーチェイスも見応え十分。若山富三郎さんのデコトラ全否定の〝男の生き方は飾りじゃない〟発言がツボ。そして、なんといっても夏目雅子さんが初々しくてそれだけでも見る価値あり。ただ、コンプライアンス的に???なシーンも多く、当時は笑って観ていたけど、アウトなギャグもあって、そのためテレビではほとんど放送されないんだと妙に納得の映画。
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