2005年、三島由紀夫生誕80年の節目に作られた国内外11人のインタビュー映画。出演は小説家・平野啓一郎、狂言師・野村万之丞、劇作家・坂手洋二ほか、イタリア、中国、ハンガリー、アイスランドの学者など。監督は高校時代から三島のファンだった映画評論家・田中千世子。
「金閣寺」「鏡子の家」「近代能楽集」「豊饒の海」の四作をメインに様々な感想インタビューが組み込んである。自分が知っている出演者は平野啓一郎と野村万之丞だけだった。三島を読んでいない人も出演していて、各人のインタビューは短くて掘り下げられることは無い。監督の人選理由が解らなかったが、制作当時に監督が気になっていたアーティストや繋がりのある海外学者たちだったかもしれない。
映画を観ながらスノッブという言葉が頭に浮かんだ。田中千世子監督の映画評論は今まで読んだ事がなく、調べてみたら映画評論家の故・品田雄吉の妻でイタリア映画と能に詳しい人物とのこと。著作にパゾリーニ監督の評論があったのでいつか読んでみたい。
三島由紀夫に興味があるので個人的には観て無駄ではなかったが、ハイコンテキストで同人サロン的な印象が残った。
今年は昭和100年=三島由紀夫生誕100年にあたる。年内残る三か月は日本近現代史と三島由紀夫について勉強を続けようと思う。
【スノッブ(snob)】
俗物。「知識・教養をひけらかす見栄張りの気取り屋」「上位の者に取り入り、下の者を見下す人物」「紳士気取りの俗物」といった意味で使われる。