soycrane

ロード・オブ・ザ・リングのsoycraneのレビュー・感想・評価

ロード・オブ・ザ・リング(2001年製作の映画)
4.9
【ピージャクのLOTR愛溢れる王道ファンタジー大作に見せかけた人と人の絆の物語】
* 今はなきMOVIX六甲(選択肢になし)にて劇場公開時に鑑賞。
* 原作は読んでいない。劇場に観に行くまでは自分も単に「剣と魔法で戦う、スゴいCGで作られた王道ファンタジーの原点」ということで話題作をとりあえず、といった感じで。しかしこの物語の本質を見つめた時、仲間を信じること、種族を超えた絆、人間の心の弱さ、弱さを認識して乗り越えていく強さ、こういった我々の世界でも大切かつシンプルなメッセージが込められていることに気付く。
* 原作がそういうものなのかわからないけど、ピーター・ジャクソンはその当時としてはどエライCGと故郷ニュージーランドの雄大な自然ロケを存分に駆使して舞台や世界観を描きながら、それ目当てで観に来る人たちに向けて、ちゃんと登場人物の心の動きとか成長とか、本来人がもつ強さとか、そういうものにフォーカスを当ててボカさない、誤魔化さない。
* 確かに冒険ものだ。剣と魔法(っぽい力)のバトルものだ。しかし、この物語の主人公に設定されているのが人間族ではなく、小人で戦闘に向かない平和主義種族のホビット、というところに注目したい。
* ホビットは戦闘に向かないが、ボロミアのような人間族のように目的のために心が欲望とか邪悪に染まることがない。この種族の視点から物語が描かれることで、実際は欲望に負けやすい我々人間というものを描いている。長寿のドゥネダインであるアラゴルンや聡明なエルフであるガラドリエルやレゴラス、人間を導く魔法使いのガンダルフでさえ指輪の魔力に負けてしまう設定ゆえ、これら皆をまとめて総体として「欲望に負けやすい我々」のメタファーとして描いている。
* が欲望に負けるといいつつ、絆を大切にするボロミアはメリーとピピンを命懸けで守ろうとするし、「それでも人間は」という人間讃歌としても描いている。
* バルログのシーンでフロドはガンダルフが言っていた大切な言葉を思い出す。このセリフはいわゆる金言で、困難に立ち向かうあらゆる人を元気づける。本当に良い言葉だ。
* ラストでいつの間にか固い絆で結ばれていた旅の仲間たちの姿に涙が出てくる。自然に「皆に迷惑をかけたくないから」「命を失うかもしれないがそれでも仲間を助けたい」「絶望の中にあってもそれでもできることはあるじゃないか、仲間を救おう」「世界を窮地に陥れた一族の末裔で王たる資格はないと思っていたが仲間の最期の願いのために決意する」などと、最初は成り行きで流されていた各人が明確な意思を持って目の前の困難に立ち向かおうとする。
* このピーター・ジャクソンの人に対する暖かな目線は、後に続く第2作、第3作の中でも変わらず描き続かれ、決してブレない。
* この映画のCGとかもちろんスゴいのでコレを褒めてもよいのだが、こういった人間讃歌的な視点で是非見て欲しい映画。彼ら旅の仲間たちの絆を見ていると、本当に元気がもらえる。そう、この映画の副題は「サウロンの復活」とかぢゃなくて、「The Fellowship of the Ring」なのだ。
* アラゴルンがボロミアの小手を装着して涙を流すシークエンスは、『王の帰還』までの流れを知っていると本当に泣ける。アラゴルンの決意の原点がちゃんとこのシーンで描かれているから。
《こんな人向け》王道ファンタジーの原点をみたい人、努力・友情・勝利!なジャンプ的なヤツに心動かされる人