ごろちん

肉弾のごろちんのレビュー・感想・評価

肉弾(1968年製作の映画)
4.3
敗戦間近の日本。
神様に祭り上げられ、肉弾として特攻隊員に任命されたある青年の苦悩を、ユーモアを交えながらコミカルに描いた作品。

特攻隊出陣を前に、24時間の自由時間が与えられ、21才の主人公「あいつ」は、最後に童貞を捨てようと女郎屋へ。初めての相手が菩薩か、はたまたバケモノ(酷い言い草)になるか一抹の不安のさなか、運命を感じるような女学生〝うさぎ〟に出逢い——。


人間から牛、豚、一足飛びして神様。

戦争に翻弄され、ロールモデルが次々と変わる青年「あいつ」は、願わくば神様よりも「人間」になりたかった。祖国を守る神様ではなく、ひとりの女性を守る「人間」に。

戦争とユーモアのコントラストが素晴らしい!ユーモアを織り交ぜることで青年を叡智ある人間として色濃く映し出している。肉弾は牛や豚、もちろん神様なんかじゃなく、人間であるということを受け手に印象付けさせている。

「生きてれば小便することだって楽しい」。古本屋店主の言葉が印象的。「死んじゃあダメだよ兵隊さん」、「あいつ」に対して古本屋店主が発したはなむけの言葉は、監督から当時の肉弾たちへのはなむけの言葉にも聞こえた。
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