カルダモン

タンポポのカルダモンのレビュー・感想・評価

タンポポ(1985年製作の映画)
4.4
主人が亡くなり未亡人が見よう見まねで営業を続けているラーメン屋。たまたまそこに立ち寄ったウェスタンハットのトラック野郎が、お世辞にも美味いとは言えないラーメンを見かねて店を救済していく。各地を飛び回っている運ちゃんならば全国津々浦々のウマイ店を知っているだろう。肥えた舌と見識によって傾きかけたラーメン屋は試行錯誤を重ねながらも徐々に活気を取り戻しはじめる。

本作における食の描写はラーメンに止まらず、食文化や食生活まで掘り進む。実はとんでもなくグルメなホームレス達のウンチクや、無知な上司をよそに見事なオーダーを決めて見せる若手社員、マナー教室の横でパスタをズルズル啜りまくる外国人などなど具だくさん。
微に入り細に入り度を越した表現が実に変態的で、特に生卵や生牡蠣などの露骨なセクシャル表現などは受け付けない人がいてもおかしくないくらいに炸裂しまくっていて笑う。

今はラーメン屋というとオシャレな雰囲気さえ醸し出していて、もはやこの映画に登場するようなラーメン屋はファンタジーの部類、絶滅危惧種で、街を歩いていてもなかなか見つけることは難しい。




たまに見たくなるけどなかなか配信されない伊丹映画。グッジョブな日本映画専門チャンネルでした。伊丹十三10作品24時間マラソン特集、ゆっくり消化します。