たつなみ

タンポポのたつなみのレビュー・感想・評価

タンポポ(1985年製作の映画)
5.0
伊丹十三作品の中で最高傑作だと思う。
『不朽の名作』とは正にこういう作品の事を言うんだろう。
もう何度観たか分からない位大好き!
未見の方は是非とも観て頂きたい。

今では珍しくも無い『グルメもの』だけど、そこに西部劇の要素と伊丹監督独特のオフビートな笑いが加わって最高の爽快感を味わえる。
当時は『ラーメンウェスタン』なんて言われてたっけ。

オンボロラーメン屋を人気店にするべく集まった5人の男たち。
素性も全く分からないのに、とにかく全員アウトローだけどいいヤツ。
陳腐な例えだけど『カリオストロ』のルパン一味の様な爽やかさがある。

ゴロー(山崎努)のカッコよさにシビれるが、何と言ってもヒロインのタンポポ(宮本信子)の演技が素晴らしい。
男を立てる健気さを見せつつ、芯の強さを湛えた表情はとても印象に残る。

メインのストーリーの間で数々のサイドストーリーが挟まれる構成もとても新鮮。
どの話も『食』がテーマになっていて笑えるものばかり。
若かりし日の役所広司と黒田福美のラブシーンはヤケに生々しくてメッチャエロかった。
卵の黄身を口移しするシーンなんて、子供の時にドキドキしながら観てた記憶がある。

全編を通して『食べること』が最大のテーマ。
タンポポの作るラーメンや、出てくる料理はどれも美味しそうなものばかりでビジュアル的にも楽しい。
映画好きなら絶対に観るべき!