スローモーション男

偉大なるアンバーソン家の人々のスローモーション男のレビュー・感想・評価

4.2
 オーソン・ウェルズ監督第二作品

良かった。良かったのだけど、40分ちかくカットされていたみたいで後半のテンポ速すぎる展開はここに原因があると納得しました。

 アメリカで30年ちかく栄光の時代を生きてきたアンバーソン家と、その奥さまに婚約を誓う男の物語。

 ウェルズ自身がナレーションをし、語り部としてこの栄枯盛衰の物語へと誘う。
『市民ケーン』をマイルドにした内容は、ウェルズ特有の長回しによる優雅なカメラワークや陰影を強調させた照明に現れています。

 車を乗りこなしていたジョセフ・コットンが最初変わり者扱いされていたが、時代と共に馬から車へと変換していく世界で、莫大な利益を生み出す姿。また、それとともに馬を乗り回していたアンバーソン家の長男が、時代に乗り遅れていくのが対比となっていて面白かったですね。

ただやっぱりカットされてしまったのが残念すぎる…。すごい消化不良で終わってしまいました…。
でもラストの制作クレジットをウェルズが読み上げたりなど、静かな映画ながらも作家性がとても出ていた作品でした。