HicK

チャーリーズ・エンジェル フルスロットルのHicKのレビュー・感想・評価

4.0
《トンデモ脚本で更にボケ倒す。より陽気な作品に》

【更にぶっ飛んだ脚本】
ストーリーの説得力に囚われない大胆さで、魅力を光らせていた前作。それに味をしめたのか今作は取捨選択がより極端で、ストーリー展開がふざけ倒している。とにかく、ありとあらゆる突破口や口実がミラクルに次ぐミラクル。「そうよ!そうよ!」で事件の真相に迫っていくが、完全に観客が置いてきぼり。勝手にストーリーが進んでいく。「なぜそれが分かったのか」を考えてしまうととても難解。本当にぶっ飛んでる 笑。

例えば…。
殺害現場の壁のキズ。←舐めてみる。パイナップル味だ。犯人はサーファーね。みたいな「いつ分かったの!?」的ワケワカメが全編通して起こり続ける。で、ビーチに行くとそのサーファーがいるという 笑。

ただ、前作で提示した作品の方向性が「フリ」として効いているから、許容できてしまう自分もいる 笑。

【てんこ盛りのストーリー】
サイドストーリーも増えすぎた印象。ナタリーの結婚、アレックスと父、ディランの孤独、元カレ、ヤセ男、などなど沢山あり、放り込むのは一瞬だけで別に深掘りもしない。とにかくてんこ盛り。

【磨き上げた「おバカさ」】
じゃあ何が前作超えしているかと言うと、「おバカさ」だと思う。前作もそうだが、マックG監督はオリジナル版の何に注目してリメイクしたかというと「滑稽さ、ツッコミどころ」だと思う。隠さずに笑ってもらう。その意味では今作は攻め倒している 笑。

笑えるシーンが増え、セリフも更に陽気になり、アレックスと父のすれ違いコントがあったり(イタチちゃん可愛い)、ボズレーがよりコメディアンチックになっていたり。アクションの安っぽさを逆手に取った演出も好きだった。なによりストーリー展開自体が既にコメディー。

【カリフォルニア臭】
全体的にカリフォルニアを意識した演出が増えた。サーフィンやレッドカーペット、ロケ地など。エンジェルたちのキャラクター設定も一段と陽気になり、自分が想像するカリフォルニアンガールに近い。冒頭のキャメロンなんか、旅行に来たカリフォルニアンガールそのもの。そしてそこに前作以上のコスプレパーティー(必要以上の)が加わり、さらに底抜けのおバカな感じに 笑。

【アクション】
今回は前作のようなワイヤーアクションの無重力演出は抑え気味。安っぽさもあるが、前作よりも3人がレベルアップしている気もする。やっぱり顔出しアクションが多い点がシリーズを支えてると思う。コンバットは前作と同じぐらいの量だったが、その他バイクなどのスタントシーンが増えていた。

【音楽】
ドリュー・バリモア選曲のサントラが今作も良かった。そしてP!NKのメインテーマも好き。

【総括】
当時、大好きな作品だったが改めて見返すとぶっ飛んだ脚本ぶりに驚いた。それに引き換えても、陽気さが増した今作のテイストは個人的には好き。「辻褄合わせに囚われず、ボケ倒す」。目指したいものがよりハッキリとしてると思う。良くも悪くも「チャーリーズエンジェルといえば」を全て極めた傑作。(自分にとっては 笑)

ただ、ラジー賞も納得のトンデモ作品 笑。
HicK

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