菩薩

処刑の丘の菩薩のレビュー・感想・評価

処刑の丘(1976年製作の映画)
4.6
人間の屑と、屑の人間と、それらを眺めるその他大勢の顔!顔!顔!の連発映画、夫婦揃ってなんちゅー顔撮ってんだと思うが、その目から溢れ出る呪詛は、映画のフィルターを通さなければ確実に我々の精神を病ませる威力がある。戦時下に蘇るゴルゴタの丘、キリスト的な復活かユダ的な死か、精神的な死か肉体的な生存かの選択を迫られた時に、1人のたかだか人間が選ぶべき正解の道とは。奇跡の現出無き現実世界において、圧倒的な恐怖を目の前にして、死を免れる手段が辛うじて残っているからと、それに縋るのは正しい行いなのか。「生きてこそ」が成立するのはその前提に希望が必要である、絶望は身も心も容易く死へと至らしめる。他人の屍肉を喰らってまで生き残る覚悟はあるか、また生き残る価値はあるのか。多少点が下がるのは拷問器具の煌きに折角ときめいた心が満たされなかったから。しっかり固定しないから一度目は失敗するなんて経験者からするとあるある過ぎて笑えないが、あいつには最後どうしても笑って欲しかった。
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