◆あらすじ◆
自動車販売で巨万の富を得たチャールズ・ハワードは交通事故で息子を亡くしたことで妻と離婚するが、競馬場で出会ったマーセラと結婚後、馬に関心を持つようになる。一方、ジョニー・レッド・ポラードは1929年の大恐慌により家を失い、厩舎の世話係として家族から離され、ジョッキーとしての道を歩む。2人は小柄だが気の強い馬のシービスケットとともに競馬界に嵐を巻き起こす。
◆感想◆
1929年の世界恐慌を機に落ち込んだアメリカの中で一頭の馬が民衆の間で人気になっていく姿を描くとともに、馬の購入した夫妻、調教師、ジョッキーのそれぞれが困難に立ち向かっていく姿を描いており、その劇的なストーリーが心を熱くさせるものになってしました。
チャールズ・ハワード(ジェフ・ブリッジス)は自動車販売会社の社長で恐慌でも生き残った経営手腕がある人物であり、その一方で息子を交通事故で失ったことで心に傷を持つ人物でもありました。チャールズがマーセラ(エリザベス・バンクス)と知り合い、再婚に至ったことで馬好きのマーセラの影響でチャールズも馬に興味を持つようになります。
ジョニー・レッド・ポラード(トビー・マグワイア)は幼い頃に家族と離れて以来、厩舎の世話係として暮らしたことからジョッキーの道を進むのですが、かなり短気でストリートファイトにも参加するなど、闘争心の強さを感じさせるキャラクターでした。
チャールズが馬に対して誠実なトム・スミス(クリス・クーパー)を調教師として雇い、シービスケットへと繋がっていきます。ここまでの流れが丁寧に描かれていて、当時の背景がしっかり理解できました。
シービスケットが登場してからはチャールズの競馬界への挑戦的な姿勢とジョニーの波乱万丈なジョッキー人生を中心に展開されていきます。チャールズが当時の競馬界のスター馬のウォーアドミラルとの対決を煽るシーンはあまりにも極端過ぎて、チャールズのキャラクターが分からなくなりましたが、シービスケットがお金持ちだけでなく民衆全てに希望を与えていく展開になったのもチャールズのおかげであるので、彼がこうなるまで見越していたか分からないですが、彼無くしてシービスケットの人気は無かったと思います。そして、ジョニーにはかなり苦しい時間が続くのですが、それがラストの解放感や気持ちよさに繋がっていて良かったと思います。
レースのシーンはかなりの大迫力で、実際の競馬中継では見ることができない大胆な構図で描かれる馬と馬、ジョッキーとジョッキーの競り合う姿は見ごたえありまくりでした。
お金持ちの道楽だった競馬の間口を広げたシービスケットは間違いなく当時のアメリカのスターであり、その活躍は劇的でとても面白かったです。
鑑賞日:2025年4月11日
鑑賞方法:NHK BS
(録画日:2024年5月27日)