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リトル・プリンセス/小公女のMypageのレビュー・感想・評価

3.8
魔法、あるかも!
本を読むときに途中から作り話始めてみんながハッとなって寄ってくるところがすきです

社会のなかで嫌味のない純粋な正義を振りかざすには父親的精神基盤が必要、なんだよなー、と思ったり。それが失われることによって持ち前の空想力でさえも発揮されなくなってしまうのも、たしかに。
単純な「リアリストvsロマンチスト」という構造ではない。ロマンチシズムは精神的・経済的基盤、つまり紛れもなく現実的な土壌によって支えられている。
そしてそれを有する権利はすべての人に平等に与えられるわけではないし、予期せぬことであっけなく崩れる。
「信じればある」なんて台詞は、現実を知らないお嬢様にしか言い得ないもの、だったのが、現実を突きつけられてそれでもかろうじて夢を信じる(=夢見ることに時間を割く)ことによって、空想は現実に対抗して現実を変化させる手段にもなることに気がつく。
道で花を売っていた女に「あなたもお姫様よ」と言われたときの顔。
少女の空想は社会に接続され、無意識から意識へ、そして強かさを獲得する。

グッと主観に入り込むショットが上手いなー。
音楽の入り方と感動の再会がどことなく『日曜劇場 仁ーJIN』ぽかった。
コテコテの演出の普遍的テーマではあるんだけど、ちゃんと面白くてかわいい。
こういう話が『はちどり』と対照的になってると考えても面白い。『小公女』では、その特権性からスタートしているが、『はちどり』の少女は、八方塞がりの現実の最中にいて、ついにはそこを出ることができない。
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