このレビューはネタバレを含みます
いやー怖かった………最後祥子がピアス?イヤリング?を引きちぎって耳たぶから血が出て、どんどんかさぶたになっていくところ…今これを書いてても足元が冷えてきた。祥子の泣き顔が本当にヒステリックで胸に迫るものがある、怖い。泥酔してフラフラ歩く様子や、机の上に乗っかるなどの奇行も全てがドロンとしていて怖い。ファミレスで店員につっかかる時の、どこに怒りのスイッチがあるのか全く読めない感じも。これが精神を患うということならば納得。紺くんに朝から平気でお酒を出そうとするところは怖いけど、良かった。本当にアル中で、それが当たり前だと思ってるから、人にも通用すると思ってるんだ…と。オレンジを絞ってジュースを作ってあげるところが好き。飲みたい。美味しそう。部屋の雰囲気や小物がどれも良い。ファミレスの店員が今日は機嫌いいわねって言ってたあたり、酒飲んで暴れることも多々あるってことなんだろうな…だからあのお団子の店員は嫌な対応をしていたのかな…とも思った。
豊川悦司はニュクリとした自我が強いように思っているが、この作品ではそれを完全に消して好青年になっているように思えた。台詞の読み方もクセがなく、棒読みというと聞こえが悪いけどなんというか…感情があまりこもっていない、優しさを作っているような一定のトーンの読み方。紺くんが大学の仲間たちと集まっている時に、睦月が高そうな車でマンションの下に乗り付けてくるところはクッセェ…と思ったけど、これがフィクションの醍醐味だよな。嫉妬心剥き出しのスパダリ(医者・美男子)。ありがとう。
1番気に入ってるのは睦月と紺くんが掴み合って芝生を転がり落ちるシーン。紺くんにちゃんと言えよって叫ばれて睦月が愛してるよって言うところ、悲しそうで本当に良かった……愛してるよ、でもどうしようもない、ごめん、本当に愛してるよ、愛してるのは本当、心の底から、ってことだと思った。紺くんに明らかに好意がある後輩の女の子が後から追いかけてきて現場を目撃してるけど、普通に気がついただろうな。自分はハナからリングにすら上がってなかったことも、2人がどういう関係だったのかも。
「おとこおんな」ってワードは何回聞いても読んでも的外れすぎて笑える。なんだよおとこおんなって。よくそんな恥ずかしいこと言えるよなと思った。
3人で子供を作る、それを睦月と紺くんは望んでいるのか?そもそも子供が欲しいのか?睦月と紺くんの精子を混ぜて自分の卵子と授精させることで子供を作り、それをすることによって睦月と紺くんが「結ばれた」ことにしてあげたいという祥子の自己満足に過ぎないと思った。なぜ自己満足でそんなことをしようと思うのか?……….睦月のことが好きになったからじゃないかと思う。祥子は睦月のことを男として好きになっているんじゃないか、泥酔しているとはいえ「抱いてよ」という台詞もあるし。
紺くん、睦月、祥子がただ歩いていくというラストは、これからも変わらず日々は続いていくということなのか?ではなぜ紺くんは泣いていたのか…紺くんはもう終わりで、自分は睦月の側にはいないと決めたから泣いたのでは?もう分からんな〜ッ解釈は無限…………エンドロール本当に怖かった。特に歌声が。大きなのっぽの古時計、怖すぎる。救いがないよ…………怖い、良い、怖い。