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サンタクローズのYOUのレビュー・感想・評価

サンタクローズ(1994年製作の映画)
3.0
ジョン・パスキンが監督を務めた、1994年公開のファンタジー・コメディ。
テレビ番組のコメディアンとして活躍していたティム・アレンの映画デビュー作である本作は、2,200万ドルの製作費対して1億4,000万ドル以上の興行収入を叩き出した作品とのこと。本作は「クリスマスの”奇跡”を通じて壊れた家族関係を修復していく」というド定番な話をベースにしつつも、”主人公が実際にサンタクロースになる”という斬新な発想には思わず意表を尽かれます。と言うか、何なら本作は「Santa Claus(サンタクロース)のClause(契約)で“Santa Clause”」という捩りギャグありきで企画されたのではないかと邪推させる程、正直作品としてのクオリティは決して上質とは言い難いです。ただやはりこの思い切りの良さは伊達じゃなく、「主人公スコットが契約を交わしてから、徐々に容姿や人格がサンタ化していくまで」のパートは明らかに本作のメインディッシュとして扱われています。ここはとにかくティム・アレンのダメウザ可愛いおじさん感が存分に堪能出来ますし、彼の憎めない可笑しさや愛らしさだけでもクリスマス映画ならではのハートフルな雰囲気は十分にカバー出来ていると思います。

「ひょんなことからサンタ家業を引き継ぐ」という導入部のアイデア、子供たちを膝に座らせ会話をする絵面、主人公が異常者と勘違いされ裁判沙汰になる展開など全体的には『三十四丁目の奇蹟』を非常に意識した作りでありつつも、当然本作ではそこにファミリー向けのファンタジー要素が大幅にプラスされています。ティム・アレンのハマリっぷりも相まって大勢のファミリー層を味方につけ、故に大ヒットしたという経緯は確かに納得がいきます。しかし個人的には作劇上の粗や違和感なども多々見受けられました。演出面で言えば、スコットがサンタを襲名してから物語上では1年が経過しているはずなのに劇中ではその時間経過が全く感じられず、終盤でそれが判明した時には若干混乱してしまいました。またスコットは契約により人格までもが自動的にサンタ化してしまう為、ダメ男の成長譚としてもかなり薄口な仕上がりになっていると思います。そして更にガッカリしたのはラスト。何だかんだ最後はクリスマス映画らしくファンタジックに締めくくってフィニッシュ!と思いきや、よせばいいのにその後もう一つとある展開がくっ付く、僕これはっきり蛇足だと思います。さっきまで感動して泣いてたお母さんがもう完全に冷めちゃってんだもん。ただ今指摘した緩い部分もティム・アレンの脱力感ある演技とは合っているとも言えますし、何よりクリスマスシーズンに暖かい部屋の中で観ると評価2割増しは確実です。2作目と3作目も観てみたくなりました!























































































































「衣装を身につけたことをきっかけに、肉体と精神が徐々に変貌を遂げていく」という話と言えば『クラウン』なんて作品もありました。実際今回も若干の不気味さや禍々しさは感じなくもない。
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