すー

激動の昭和史 軍閥のすーのレビュー・感想・評価

激動の昭和史 軍閥(1970年製作の映画)
4.6
この表現あってるかわからないのですが…

ゾクゾクした。
血気盛んに開戦に向かって突っ走る軍隊vs外交で決着つけるべきとする天皇と文官。どちらも日本の現状を憂いているのは確か。

もはや青年将校たちを政治家が抑えきれなくなったために台頭し首相の座についた東條英機。
文官vs軍隊だった構図がやがて陸軍vs海軍になってゆくのだな。
そのうんこみたいなプライドと責任のなすりつけあいが日本を先の見えない長期戦にいざなった。ことがよくわかる映画でありました。

子供のころ母が私に言っていた。「ドイツもイタリアも戦争を起こした代表格がいたのに日本はこの人っていう戦犯がいないの。卑怯だよね」って。

東條にも迷いを感じる。軍隊にいたころは強気論者だったけれど首相になったとたんに天皇のお気持ちを汲みし揺れる。戦時中はもう進むしかないから断固強硬派になっていったけれど。

では戦争を起こした張本人はなんだったのか。と考えると軍閥内の意地やプライドが肥大化した所以としか考えられない。

このころに至ってはそう遠い歴史ではない幕末維新の志士たち。軍部は彼らの血を感じるがごとくバカ熱い。戦わないことを臆病と呼び、怒りを政治家にぶつけた結果暗殺に走る(一人殺したところで世界はかわらないのに)そしてついには自分も死んじゃう。そこに何の意味があるのか。
ちゃんと話しあってお互いにwin-winの道をつくろうぜよという竜馬の思いは届かず、みーんな熱い志掲げることに重きを置き過ぎて犬死にしたがるの。

そんな熱い志なんざ、時代がかわれば一瞬で価値観変わるって。今ならわかるけど、私もこの時代の男子だったら竹やり振り回してた気がするんだよね。

話がそれました。

新井記者が戦況の真実を新聞に書き、大変評判がよかったこと、それに陸海軍も同調し「真実を書いてくれた」と喜んだ、この流れは見ていてはうれしかったのもつかの間、東條に瞬殺され、より一層言論統制がひどくなる。言論の自由が奪われること、これが一番怖いことだと思いました。


新井記者がまさかの加山雄三だとあとから知り、驚きました。加山雄三にも若く細身の時期があったのですね。とても純粋な目をしていました。
おじさんになると顔が四角くなるという説をよりいっそう強固なものとしました。ロバートデニーロ、高橋英樹に続く顔面成長率を争うかもしれません。
すー

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