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紀子の食卓のbibliophageのレビュー・感想・評価

紀子の食卓(2005年製作の映画)
3.6
フィルマークの映画を検索した時に表示される情報が追加になりましたね。他のみなさんのコメントを読む前に自分のコメントを書くようにしていました。その後で、みなさんのコメントを答え合わせのようにして読んでいたので、先に表示された点数や、コメントを見ないよう気をつけたいと思います。

この映画、ストーリーをかいつまむと単純で、家出した少女が「レンタル家族」で働き始め、それを探しにきた父親ともめる、といったことかと思います。

単純に書けるのですが、想像力を思いっきり書き立てられます。それが狙いなのかもしれません。全編、視点を変えたモノローグで綴られます。その語りが意味深、というか関係性と意味を考えるのに疲れてしまいます。

「食卓」サザエさんに登場する波平さんを中心とする食卓、まるちゃんでは、ひろしとお母さんが並んですわります。食卓は家族を象徴するものであり、時代を表すものなのかと思います。

この映画でもレンタル家族は「食卓」を囲むことで家族ゲームを楽しみ、一方、島原家の食卓は一人減り、一人減りという寂しさが描写されます。

血のつながりなどというものは幻想であり、親は親を演じ、子は子を演じている。つながりを作っているものがただの契約に過ぎない。もしそうならば、それに抗うのか、従うのか、逃げるのか。生き方を決めなさいって言われているような気がしました。

「自殺クラブ」は意味を捉えられず、評価するにいたれませんでした。自殺クラブは、自殺することすら自由ではなく、だれかの意思に従った結果なのだと思います。
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