シアマ版
"思い、思われ、ふり、ふられ"
『燃ゆる女の肖像』の監督、セリーヌ・シアマの長編デビュー作がこの度U-NEXTで配信開始。
凄い。もう全体的に確立されている。仕上がり度合いでいえば『燃ゆる~』かもしれないが、処女作にのみ宿る輝き、映画的純度の高さのようなものが本作では伺える。
当時まだ18歳のアデル・エネルと、主人公のポーリーヌ・アキュアールのあどけなく瑞々しい魅力に釘付け。エネルはここから約12後に『燃ゆる~』のあの姿になると思うと凄い垢抜けっぷり。
説明的な描写をとことん省きながらも、登場人物たちの心情や人間模様が詳細にこちらに伝わってくる演出の妙。
なんとなく思い出した作品としては、デヴィッド・ロバート・ミッチェルのこれまた傑作処女長編『アメリカン・スリープオーバー』。
〆に劇中台詞を添えて↓
「人が最期に見るのは90%が天井だろうね。人が死ぬとき最後に見たものが目に焼きつく。大勢の死人の目に天井が焼きついている。」