スズランテープ

水の中のつぼみのスズランテープのレビュー・感想・評価

水の中のつぼみ(2007年製作の映画)
4.3
素晴らしい。好きな映画。
セリーヌ・シアマ監督は初めて観賞したが、とてつもない才能の持ち主であると感じた。映画を造るうまさと鮮やかな感性、そしてその二つを暴走させずに綺麗にまとめ上げる叙情性により、天才的でありながらも非常に落ち着いた作品となっている。

特に映像で物語を語ると言う点で、彼女は現代に於いて無類の才能を持ち合わせているのではないだろうか。ショットの素晴らしさは言うまでもなく、視線で人間関係と物語を描く能力が凄い。この視線と表情がキャラクター間の見えない世界を浮かび上がらせ、作品全体の空気や雰囲気を際立たせる。

色々書いたけど今作は普通に内容が好き。青春恋愛映画として単純に面白いし、えげつない10代の感情もふんだんに描かれている。痛々しさ、瑞々しさ、恥ずかしさ、そして美しさを感じた。ラストはなんとなく映画の雰囲気とは少しズレてる感じがしたけど、青春映画としての終わり方としてはよかったなと思えた。
スズランテープ

スズランテープ