siorinn汐鈴

東京物語のsiorinn汐鈴のレビュー・感想・評価

東京物語(1953年製作の映画)
4.0
アキ・カウリスマキが敬愛する監督と知り、鑑賞。
撮り方を見て、ああ、と思う。アキ監督は本当に小津映画のファンなのだと・・・

戦後の日本が舞台。
老夫婦が尾道から東京に住む子どもたちを訪ねて・・・
内容は観ていない人間でも知るような有名さ。

しかし、内容としては「失われゆく日本の風景」や「絆」が描かれ、その最後に残る善意や優しさの象徴のような二男の嫁。
長男、長女はどれだけ鬼なのだろうかと観てみたが、
自分たちの生活が一番になってしまっている自分を重ねて苦しくなった。
彼らを責めることはできない、そんな視点を感じた。

「死にゆくもの=なくなる日本の良さ」

原節子や香川京子演じる他人を思いやる優しさ、自分なりのせいいっぱいの振る舞い、
そんなものを今を生きる私たちは忘れてしまっている。

笠さんは、本当どこにでもいそうなリアリズムを生む凄い俳優なのだと改めて実感。
俳優業のような華やかな業界にあって、こんな普通の市井の人を違和感なく演じる稀有な存在。
派手な演技やドラマを感じさせるものより数段難しいであろうに・・・
無言で演じる素晴らしさを背中や表情に感じる。

今ではこんな俳優も作品も難しいのだろうな・・・
最後のシーンを見ながら、ふと、そんな思いに囚われました。