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東京物語のzer0ne0のレビュー・感想・評価

東京物語(1953年製作の映画)
5.0
迷いなく星5を付けられる名作中の名作。
北鎌倉建長寺、予告編ZEN映画祭、みんなの小津会(二日目)にて鑑賞。
加瀬亮がトークで、(うろ覚えだけど→)「年齢によって見え方が変わるのが小津映画。若い頃と違い、人生で色々な苦労や別れを経験してから観ることで味わいが増す。いま、東京物語を観ると、(笠智衆とのラストのシーンを見ていて)原節子は実はもう新しい好きな人がいるんじゃないか?と思えるようになった。小津映画は氷山のようで、一見その、氷山の一角、氷山の表面だけを観てしまうが、実は奥に大きなものがあって、それが小津映画だ」というような事を、いろいろ話していた。
本当にそうだと思うし、観る人によって受け取り方が色々に違って良い、と素直に思えるのが小津映画だとおもう。
東京物語は、ほかの小津作品に比べ、特にわかりやすいというか、感じ取りやすい映画というか、原節子のための最高の映画というか、もう、笠智衆との最後のやり取りでは涙腺が崩壊してしまう。
自分にとって、東京物語の原節子は最高の女性というか、模範的な最高に人間的な存在。
ローアングルとか、後ろに流れてるもの(長谷川櫂)とか、家族映画だけど実は家の外を描いてる(加瀬亮)とか、色々な見方があって本当に小津映画って、(小津が徹底的に表現した)「普通」なんだけど多面的な見方のできる映画だと思う。どこまでどう計算していたのか、フィーリングでやっていたのか、すごく知りたくなる。
でも自分にとっては、あの原節子に出会えただけで、もう最高に(!)満足なのである。
(笠智衆も最高のおじいさんだ)
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