Masami

東京物語のMasamiのレビュー・感想・評価

東京物語(1953年製作の映画)
3.3
今から65年前の作品。

終戦後、豊かになってきた頃の日本の風習が見て取れる。夫はスーツで風呂敷、妻は着物にボストンバッグ。広島から東京まで電車で1日半。尾道では洗濯物を重ねて干してるけど、東京では煙突からもくもくと煙が立つ。

しかし人間関係は風習ほどの違いを感じず。親と子の関係や夫婦のあり方が、身内とは遠く、義理の関係の方が親身でというのは今の世も変わらなくじわじわとした共感を生む。

ローアングルで部屋の中を追うカメラワークや、笠智衆演じる父や原節子演じる義理の娘のカメラ目線がなんともいい味を出している。

ラスト付近の母が亡くなった後のやり取りはなんと言えない。年代的に親に対する丁寧な言葉は美徳だが、一抹の寂しさや冷たさを連想させる。しかし笠智衆演じる父は、そんな子供たちの気持ちを汲んでいてもどこまで行っても暖かい。
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