寅さん

東京物語の寅さんのレビュー・感想・評価

東京物語(1953年製作の映画)
5.0
小津安二郎監督
67年前の映画だが家族、親子がテーマの本作は筋の古さを感じない。テーマがテーマだけにそれは普遍的なものだと時を経て証明している。

せっかく息子夫婦の家に来たのに邪険な扱い。
紀子役はもちろん原節子のバタ臭い顔も本作で好きになった。
孫が成人して仕事に就くまで生きてるか。この侘しさを正面から表現している。
妻でも娘でも良いから紀子の様な家族が欲しい。

紀子の義理の両親のご飯を用意し食べてるところを団扇で扇いであげる。
次のシーンでは息子と娘の場面に切り替わるが自分に団扇を当てながら、両親を熱海に追い出そうと企てる。しかも安宿に送り若者が夜も麻雀やらで騒がれてゆっくり眠れない。
この対比が完璧。暑い中東京観光は大変だと両親の為と言いながら熱海に送る計画。紀子は暇を作り自ら東京を案内する。
最期の時は家族に看取られてと言うのか幸せと言うが、どうなのか?疎遠になった家族に看取られ亡くなったあとの呆気ない態度を考えると。
亡くなってすぐ、父さんの方が良かったとか形見分けの話とか。

そうかいけんのか。そうかお終いかのう。
気の利かんやつでしたが、こうなるならもっと優しゅうしてやるべきでしたよ。
近所のおばちゃんとのこの会話は何の変哲も無い台詞だけどグッとくる。

今時の若者の若いもんという言葉がこの時代でも言われてる。面白い、時代が変わっても人は変わらないんだなとしみじみ思う。

どうもありがと

〜メモ〜
息子の正二(紀子の夫)の遺影の写真が鎌倉で撮っている。笠智衆の墓も鎌倉にある。
笠智衆の生家は熊本県玉名市天水の来照寺、原節子は横浜市保土ケ谷区。
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