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東京物語のtetsuのレビュー・感想・評価

東京物語(1953年製作の映画)
4.0
映像の授業でオススメされた後、ゼミの課題にもなったので2度鑑賞。

子供たちが住む東京にやって来た老夫婦。しかし、その様子はかつてと違っていて...。

お恥ずかしながら、僕にとって初の小津安二郎監督作品でした。
温かなホームドラマかと思いきや、予想とは違う切ない物語で少し驚き。
東京にやって来た優しい老夫婦が息子たちに邪険に扱われるという展開は観ていて胸が締め付けられる思いでした...。

最近の映画に馴れている僕からすると、1:1.33のサイズ(ほぼ正方形)は新鮮でしたが、それに合わせて考えられたであろう絶妙な構図が、とても美しかったです。

「田舎」と「都会」の対比は、近年の大ヒットアニメ映画『君の名は。』にも通じますが、都会の否定的な一面が色濃く、全く異なるアプローチで描かれていたようにも思います。

一人一台といっても過言ではない現代のスマホ社会。
情報に追われる私たちだからこそ、
言葉の裏に隠された本当の意味を熟考することが大切なのかもしれません。
そんな「日本の精神」を感じた名作古典映画でした。

参考
『東京物語』 | 日芸マスコミ研究会
http://nuartmasuken.jugem.jp/?eid=77
(最終的な祖母の顛末や、画面に登場する家紋、家族をテーマにした物語から『サマーウォーズ』を思い出したのですが、やはり同じことを考えている人がいました...。)

絢爛たる影絵 小津安二郎 (岩波現代文庫) | 高橋 治 |本 | 通販 | Amazon
https://www.amazon.co.jp/%E7%B5%A2%E7%88%9B%E3%81%9F%E3%82%8B%E5%BD%B1%E7%B5%B5-%E5%B0%8F%E6%B4%A5%E5%AE%89%E4%BA%8C%E9%83%8E-%E5%B2%A9%E6%B3%A2%E7%8F%BE%E4%BB%A3%E6%96%87%E5%BA%AB-%E9%AB%98%E6%A9%8B-%E6%B2%BB/dp/4006021755
(授業の参考図書。『東京物語』で助監督を経験された方の実録小説です。)

<ゼミの課題作品④>
ゼミ生の意見
・白黒で眠くなった。
・カメラワークが盗撮みたい。
・おじいちゃんとおばぁちゃんが防波堤を歩くシーンが印象的。年をとっていても青春を感じるシーンだった。
・映像の揺れが気になった。
・風景のシーンが多い。別のカットから撮った風景のシーンが3つ連続で流れることも...。

先生のコメント
・本作の特徴は低い位置からカメラ撮影
をする「ローポジション」と言われている。しかし、撮影をする人間は対象に合わせて、カメラの位置を変えているため、これはわざわざ言うほどのことではないかも...。
・当時の映画はフィルム上映だったため、途中でフィルムを入れ替える必要があった。その時に映像の揺れがあることも。
・連続する風景のカットなど、小津監督作品には独特のリズムがある。
・映画は死に至るまでの過程を切り取ったものである。本作では逃れられない死という運命に向けて物語が進んでいる。
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