都部

東京物語の都部のレビュー・感想・評価

東京物語(1953年製作の映画)
3.3
海外監督からの評価が滅法高い邦画の古き良き名作。感動ではなく心に染入るという言葉が適切な感触だった。描かれる家族の美しさと冷たさは現代にも通ずる部分が多く、それらの情緒的な場面はどうにも印象に残る。上京してきた祖父母が感じる居心地の悪さの様な物が、なんとも...。
戦後から十年足らず、誰もが前を向いて生きている激動の時代の中で緩やかに盥回しにされていく姿が哀しい。ただ家族という曖昧模糊とした存在から見出される優しさ 温もりを感じるような展開もあり、展開らしい展開こそないがじっくりと見るにはいい映画だった。確かに、ひどく日本らしい映画ですね。あと撮影法が面白かった。小津監督特有のカメラワークらしいが、瞬間を切り取っただけの日常がやけに映えている。立体的な構図を感じさせるような場面も多くてそういう意味では結構満足ではあります。
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